「南海トラフ地震の真実」
講師:小沢慧一(社会部記者)
〈内容〉 「南海トラフ地震は発生確率の高さでえこひいきされている」。ある地震学者の「告発」を受け、記者は政府が「30年以内に70~80%」と発表している南海トラフ地震の発生確率は特別な計算式を使って「水増し」された数値で、全国基準の計算式で算出すると20%程度に落ちることを知る。政府の各種委員会の議事録を情報公開請求して調べると、特別な計算式は地震学者たちが「問題がある」としたものの、防災予算獲得などを狙う行政・防災側の意見に押し切られ、最終的にお墨付きを与えてしまっていたことが判明。さらに特別な計算式の根拠とされていた江戸時代の古文書などを調べると、70~80%の確率を決定的に揺るがす大きな矛盾も明らかになった。問題の背景を調べていくと、そこには1970年代に提唱された東海地震説以降、莫大な研究費を得てきた研究者らがつくる「地震学ムラ」と地震関連の予算を獲得してきた行政とのいびつな関係が浮かんだ…。第71回(2023年)菊池寛賞を受賞した一連の報道の裏側や、地震学や行政・防災が抱える問題を詳しく解説する。
〈プロフィール〉 小沢慧一(おざわ・けいいち) 1985年名古屋市生まれ。大学卒業後、コスモ石油株式会社を経て、2011年中日新聞社入社。水戸支局、横浜支局、東海本社報道部、名古屋本社社会部、東京本社(東京新聞)社会部。同部では東京地検特捜部・司法担当を経て、現在は科学班。中日新聞で19年に連載した「南海トラフ 80%の内幕」は、20年に「科学ジャーナリスト賞」を受賞。2023年8月に「南海トラフ地震の真実」(東京新聞刊)を出版。同年10月に単独の記者として44年ぶりに菊池寛賞を受賞した。
〈チャプター〉
00:02:15 オープニングトーク
00:04:33 南海トラフ地震の真実
00:06:04 自己紹介
00:13:53 菊池寛賞授賞式の様子
00:19:59 「東海地震説」と「地震予知」
00:30:30 取材開始のきっかけとは?
00:32:28 政府の議事録を調査して発覚。70%~80%は「水増し」だった!!
00:41:50 古文書を独自調査して確信。70%~80%の根拠は破綻している!!
01:02:02 問題の背景にあるものは・・・。
01:18:18 質疑応答
01:26:27 おわりに
【収録時間 01:27:55】
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