商品概要
厳しい暑さが続く中、板橋区高島平で夏を代表するサルスベリの花が見ごろを迎えている。
サルスベリはミソハギ科の落葉中高木で、幹がツルツルでサルも滑りそうなことから名付けられたと言われている。花の時期が二〜三カ月続くため「百日紅(ひゃくじつこう)」とも呼ばれる。区役所土木部北部土木サービスセンターの担当者によると、区立高島第六小学校の北側にある約六百メートルの区道には約百十本のサルスベリが植えられており、七月から九月にかけて花が見られるとのこと。
近くに住む武田好子(よしこ)さんは「いつも目にする風景なので特に感動とかはないですが、花が咲き始めるとまた暑い夏が来たんだなと実感します」。同じく近所に住む三高文(みたかあや)さんは「西台駅まで行くときに通ります。よく見ると木によって花の色が違っているのが興味深いです。四歳の長男が小学生になったとき、この道が通学路になるので成長した息子が並木を歩く姿を想像するだけで楽しくなります」と笑顔で話した。近所の人たちにとってサルスベリは日常に溶け込んだ風景のひとつになっているようだ。
取材した十六日は都心で三十六・四度と今年十六日目の猛暑日を記録した。撮影機材が入った重いリュックを背負い、カメラを手に体中から噴き出る汗を拭いながら歩き回った。取材を終え一息ついて花を眺めてみた。この厳しい暑さの中、鮮やかな花を咲かせるサルスベリ。自然の中でたくましく生きる姿に改めて生命の力強さを感じた。(文と写真・石橋克郎)
紙面より一部抜粋(2022年8月21日発行 東京新聞朝刊)
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