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埼玉県秩父市でホタルのシーズンを迎えた。六月上旬にはゲンジボタルなどに先駆けてヒメボタルが、光を放ちながら木々の間を乱舞する幻想的な光景が見られた。
「森のホタル」と呼ばれるヒメボタルは、小川などの水辺にすむゲンジボタルなどと違い陸生で、雑木林や竹林などに生息する。体長六〜九ミリほどで、黄金色の光をフラッシュ光のように短く点滅させる。メスは羽が退化し飛ばないため地上や草の茎などで発光し、それにひかれてオスが飛び回る。成虫の寿命はオスで七日、メスが二、三日ほどと短い。
同市内では五月下旬〜六月上旬に雑木林や畑などで見られ、ピークの午後十時ごろになるとシンクロするようにタイミングを合わせて点滅。訪れた地元住民らは天然のイルミネーションにうっとりと見入っていた。
同県越生町から夫婦で訪れたカメラマンの男性は「ホタルのとりこになって三年ほど通っている。撮るのは難しいですが、はかない命が放つ光は美しい。いつまでも残していきたい光景ですね」と話した。
同市内ではゲンジボタルやヘイケボタルを、小川地区や吉田地区などで七月上旬ごろまで楽しめる。同市観光課は「発生状況はホームページで随時更新しているので確認を。マナーを守って観賞してほしい」と呼びかけている。(文と写真・隈崎稔樹 紙面構成・折尾裕子)
紙面より一部抜粋(2022年6月19日発行 東京新聞朝刊)
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