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相模湾に面する神奈川県大磯町の照ケ崎海岸で、今年もアオバトの飛来が始まった。
朝日に染まる岩礁に数十羽の群れが次々に降り立ち、岩礁のくぼみにたまった海水を飲む。波が砕けた瞬間、まるで海水浴を楽しむかのようにしぶきを浴びて飛び立つ。
アオバトは山深い森に生息するハトの仲間。全長三三センチほどで体は緑色。古来「アオ」が緑色を指すことや繁殖期に「アーオアオ」とうなるように鳴くことが名前の由来とされる。
春から秋にかけてのほぼ毎日、数十キロ離れた繁殖地の丹沢山地から夜明けとともにやってくる。海水を吸飲する理由は、主食となる果実に含まれていないナトリウムを補給するためと考えられている。
照ケ崎海岸は一日の総飛来数が三千羽を超えることもある国内最大規模の飛来地。県の天然記念物に指定されている。七、八月が飛来のピークで十月ごろまで観察できる。
地元の野鳥観察会「こまたん」の斎藤常実(つねみ)さんは「海岸を訪れる人と野鳥が共存しているこの場所を、いつまでも守っていけたら」と話す。
(写真と文・梅津忠之)
紙面より一部抜粋(2022年5月26日発行 東京新聞夕刊)
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