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隅田川東岸の本所深川。空から見ると下町らしくびっしりと建物がひしめいている。一目で分かるのは緑色の屋根の両国国技館と、隣接する江戸東京博物館くらいだ。JR両国駅を降りれば、相撲甚句の音色を響かせる店もあり、粋な雰囲気が周辺に漂う。
風情を感じながら散歩していると、はっとさせられる場所に出くわす。国技館にほど近い都立横綱町公園内にある東京都慰霊堂。関東大震災と東京大空襲の犠牲者の遺骨を納めている。
1945年3月10日未明、一帯は下町の大部分を焼き尽くした激しい空襲に見舞われた。当時から木造住宅や町工場などが密集し、被害は大きくなった。
小名木川の南、現在の清澄白河駅近くに店を構える「あづま屋文具店」の分部(わけべ)登志弘さん(83)は空襲の際、家族5人とともに近くにあった鉄筋の旧深川区庁舎に逃げ込んだ。中に入れなかった人もいて、「外に出てみると、多くの人が手を上げるような格好で焼け死んでいた」と振り返る。
ロシアによるウクライナ侵攻で不穏な時代の再来に懸念が広がる。「もう二度と」。地域では誓いの行事が10日までに相次ぎ開かれる。(井上靖史)
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