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川霧が朝日を浴び黄金色に輝く昭島市の多摩川。一月上旬に目撃情報に触れてから探し続けていた冬の渡り鳥「コハクチョウ」が姿を現した。
「コーッ、コーッ」と鳴き交わす幼鳥一羽を含む八羽の群れが羽繕いをしたり、優雅に羽を広げていたりする姿が見られた。
日本野鳥の会奥多摩支部の荒井悦子事務局長によると、毎年コハクチョウが多摩川上空を通過するが、しばらく定着するのは珍しいという。
コハクチョウは、体長120センチ、翼を広げると190センチにもなる大型のカモ科。ロシアの北極海沿岸で繁殖し、国内には越冬のため訪れる。
環境省・全国鳥類繁殖分布調査の主催団体のひとつ、NPO法人バードリサーチの植村慎吾研究員は「日本で越冬するコハクチョウの個体数が増加傾向にあり、今年は北日本の日本海側で雪の量が多いこともあって南下する個体が多かったのかもしれない」と推測する。
初めて訪れた野鳥愛好家の斎藤憲一さん(60)は「来年以降も毎年ここに戻ってほしい。静かに見守りたいですね」と話していた。
日本に渡ったコハクチョウは、3月ごろに繁殖地に向け、約四千キロの長い旅路につく。
文と写真・梅津忠之
紙面より一部抜粋(2022年1月26日発行 東京新聞朝刊)
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