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日本三名瀑(めいばく)の一つに数えられる茨城県大子町(だいごまち)の袋田の滝が、冷え込みにより一部凍結した。氷壁の出現を待ち望んでいたアイスクライミング愛好家たちが早速足を運び、自然が創り出した氷の彫刻にアックスを打ち込みながら、慎重によじ登っている。
袋田の滝は高さ120メートル、幅73メートル。春は新緑に、秋は紅葉に彩られるなど季節折々の風景が魅力だ。4段に落下することから「四度(よど)の滝」と称される。
袋田観瀑施設管理事務所によると、最低気温が氷点下7度以下の日が続くと結氷が進み、例年1月中旬ごろに見頃を迎える。2012年以来の完全凍結が期待されるが、最も凍ったのは1月9日で8割ほど。今年は水量が多いため氷の崩落が進み、13日現在は2割程度だという。
取材した8日は、青白い氷面と黒い岩肌がコントラストを描き、春から秋にかけて水しぶきのごう音が響く一帯は静寂に包まれていた。50年以上クライミングに通い続けている県山岳会のベテラン小森栄治さん(81)は「通い始めたころは毎年完全凍結していたが、ここ数年は登れない年もあった。やっぱり訪れた人には凍った袋田の滝の美しさを見てほしい」と氷壁を見下ろしながら話した。(写真と文・隈崎稔樹)
紙面より一部抜粋(2022年1月15日発行 東京新聞夕刊)
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