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東京都江戸川区と千葉県浦安市の境を流れる旧江戸川に、細長く浮かぶ妙見島。コンクリートで囲まれ工場が立ち並ぶ約8ヘクタールの小島は軍艦のようだが、かつては形を変えながら下流へ移動する「流れる島」として知られた。
現在は同区東葛西3の一部だが、明治初期の地図上では約80メートル上流にある。川の流れで北端が削られ、南端に土砂が堆積するうちに位置が移ったという。1940年に浦安橋ができるまで、交通手段は渡し舟のみ。79年に護岸工事が完了し、移動は止まった。
江戸時代の景観図では島に松林が確認でき、昭和の中ごろにかけて周辺は漁業も盛んだった。同区側の対岸で育った地元町会副会長の西野哲造さん(71)は「子ども時代は島内に海苔(のり)の製造場や貝の加工工場があったが、60年代には都市化による水質汚染で漁はできなくなった」と話す。徐々に事業者が進出し、現在は産業廃棄物業者の工場やマリーナなどが十数軒。住民は社員寮などで暮らす数十人という。
西野さんは、時折浦安橋から島を眺める。「歴史があり、都内23区唯一の自然島。いつかは緑の島に戻せたらいいんだけど」(太田理英子)
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