商品概要
下町の赤い稜線
夕闇迫る下町に赤い「稜線(りょうせん)」が続く。
荒川と隅田川に挟まれた墨田区の住宅密集地近くに、「防災団地」の異名を持つ高層建物群がある。日没前にヘリから撮ると、建物の列が夕日に染まり、周囲を覆う影から浮かび上がった。
団地は、都営白鬚(しらひげ)東アパートなど計十八棟がひとつながりに連結され、長さが一・二キロもある。各戸のベランダにシャッターがあり、外壁に放水銃も取り付けられている。大火災時には、隣接する避難場所の公園に逃れた地域住民を守る一枚の巨大な防火壁となる。関東大震災など過去の惨禍を教訓として、一九八二年に全棟が完成した。
団地のそばに立つと威容に圧倒される。山のようにそびえる盾だ。(写真・潟沼義樹、戸上航一/文・戸上航一)
■撮影メモ
隅田川沿いに連なる団地を高度500メートルから撮影。写真右側が住宅密集地
紙面より一部抜粋(2019年2月17日発行 東京新聞朝刊)
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