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吉祥寺駅の南西、武蔵野市と三鷹市にまたがるエリア約43ヘクタールに広がる都立井の頭恩賜公園。その中心的な存在は今も昔も井の頭池だ。
神田川の源流である井の頭池は江戸時代、上水道「神田上水」の水源として庶民の暮らしを支えた。池には水と関わりの深い弁財天が祭られている。豊富な湧水を誇ったが、高度成長期の住宅開発や地下水のくみ上げの影響で湧水量が激減。現在は公園内8本の井戸からの供給で辛うじて池の水量を保っているという。湧水の減少で水は濁り、夏にはアオコが発生していた。
2013年度以降、池の水を抜いて池底を天日で干す「かいぼり」が3回行われ、水の透明度が回復した。6月から7月にかけ、池には絶滅危惧種の水草「ツツイトモ」が繁殖し、水鳥のつがいが子育てにいそしむ。そんな様子に地元の安藤亨さん(81)は「昔ながらの美しい池の姿が戻ってきた」と感慨深げだ。
公園は1917(大正6)年、渋沢栄一らの尽力で日本初の郊外公園として開園。井の頭自然文化園の敷地にはかつて渋沢が校長を務めた東京市養育院感化部井之頭学校があった。 (花井勝規)
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