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荒川区と足立区を結ぶ千住大橋は、太閤秀吉によって関東に移封された徳川家康が隅田川に最初に架けた橋だ。完成したのは1594(文禄3)年、江戸開府の9年前だった。
明治になると、南千住は千住大橋の架かる日光街道、常磐線、隅田川の水運が交差する交通の要衝として、一大工業地帯となった。隅田川が東に大きく湾曲し、袋のような地形となった汐入地区には貨物駅、大日本紡績、鐘淵紡績、日本石油(いずれも当時)などが進出。南北に流れていた運河は物資を運ぶだるま船がひっきりなしに行き交った。
「キティ台風(1949年)のときには旧日光街道が自分の背たけより深い川になった」。南千住駅西口で食堂を経営し、郷土史に詳しい杉山六郎さん(74)は語る。一帯は大型台風が来るたび水害に見舞われてきた。
現在、汐入地区は東京都や荒川区などの再開発で防災都市に生まれ変わった。異彩を放つ高さ32メートルの巨大な切り妻屋根は都下水道局の白鬚西ポンプ所だ。地下には学校プール40杯分、約1万2000立方メートルの雨水貯留池がある。「東側の川沿いは隅田川花火大会があると、穴場としてすごい人出です」と杉山さん。東京スカイツリーもよく見える。 (中里宏)
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