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最新鋭の米海軍イージス艦が停泊する港内を、遊覧船が悠々と進む。軍事と観光が交錯する横須賀港の風景は、幕末維新期以来の伝統だ。
ペリー上陸から12年後の1865年、徳川幕府は欧米列強に対抗するため、軍艦の造船所と港湾を、漁村だった横須賀村に建設した。時代の先端をゆく造船所は、明治時代には観光名所になった。
1888(明治21)年に地元紙「横須賀新報」記者が出版した「横須賀繁盛記」は、「千葉、茨城、埼玉地方より数百名、造船所の見物に立ち寄り」「旅人宿泊する、多き時は百余名、少なきも数十名に降らず」と、にぎわいを伝えている。
それから120年。2008年9月から運航を開始した遊覧船「軍港めぐり」も、繁盛ぶりは負けていない。09年には8万2000人が乗船し、今年は7月までに5万人がクルーズを楽しんだ。
営業担当の大森英一郎さん(24)は「潜水艦やイージス艦を、これだけ間近に見られる遊覧船はほかにない。非日常の光景が人気の理由でしょう」と受け止める。
港は多数の入り江からなる。日産自動車追浜工場が近く、車の輸出が多い。また近海はアジやイワシの漁場に恵まれ、日本の港らしい側面も持つ。 (新開浩)
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