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「甲州街道」と「絹の道」。江戸時代以降長く重要な役割を果たしてきた2本の道が交差する交通の要衝に八王子はある。
甲州街道は江戸時代の五街道の一つ。江戸と甲府を結び、八王子は幕府直轄の半士半農集団「千人同心」が常駐するなど軍事上の拠点として重視された。また、街道中最大の宿場があり、町が大きく発展する礎を築いた。一方の絹の道は1859(安政6)年の横浜開港により、輸出用の生糸を運ぶ経済の大動脈として日本経済の発展を支えてきた。
二つの道は役割を終えたようにみえる。しかし「形を変えて今も残っている」と八王子市文化財課の学芸員、新藤康夫さん(60)は語る。都心と結ぶ中央線や京王線、横浜と結ぶ横浜線など多くの鉄路が八王子に乗り入れている。
そんな要の町に秋の訪れを告げるのも、やはり甲州街道だ。秋深まる11月、大正天皇の御陵造営を記念して1929年に植えられた約800本のイチョウが黄金色に輝きだすのだ。4キロにわたって続く並木を抜けると、昔と変わらない高尾山の燃えるような紅葉が待っている。 (加藤益丈)
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