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三方を山で囲まれ、一方は海。攻めにくく、守りやすい地形に着目し、源頼朝は鎌倉に幕府を開きました-と学校で習った。
上空から見ると、遠くに、北斎が描いたような雪をかぶった富士山がみえる。眼下には紅葉が入り始めた山々と青い相模湾が広がる。「ここに住みたい」と、みんながあこがれるのもうなずける。歴史を求める人とリゾートを満喫する人で、年中お祭りのようなにぎやかさだ。
鎌倉市は、「武家の古都・鎌倉」として、世界遺産登録をめざしている。それには外国人の心をつかまなくてはならない。地元の歴史研究家、内海恒雄さん(73)は「世界に通用する言葉は、禅とモンゴルだろう」と話す。
日本の禅は武家の文化と深くつながり、鎌倉に始まって現代まで続く。円覚寺では、大乗仏教の思想のもと、元寇(げんこう)の戦死者を敵味方なく供養している。鎌倉は世界史の一こまとして、相応の位置づけができるのだ。
「武家の古都というと、外国人は城塞(じょうさい)都市のような印象を持つが、実際に来ると、緑が豊かなことに驚く。山と海、自然に抱かれた文化都市が鎌倉です」と内海さん。緑の間に刻まれる深い歴史のひだが、街の魅力を高めている。 (吉田薫)
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