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イチョウの起源は恐竜が繁栄した時代にまでさかのぼる。地球環境の変化で恐竜やほかの植物が滅びても子孫を残してきた「生きた化石」だ。そんな気の遠くなる時間と比べたら、人類の歩みなどはつかの間にしかすぎないように感じる。
日比谷公園に樹齢400年とも、500年ともいわれる巨木がある。開園前の道路拡張で伐採されそうになったとき、公園設計者の本多静六が当時の東京市参事会議長・星亨に移植を訴え出た。「自分の首を賭けても根付かせてみせる」。困難な作業を前に、こんなたんかを切ったという逸話から「首賭けイチョウ」と呼ばれる。
公園が沖縄返還闘争の会場となった1971年に火炎瓶の炎を浴びて瀕死(ひんし)の黒焦げになったが、黄金色の葉をたっぷり揺らせるまで回復した。健康運の御利益があるパワースポットにもなっている。
「テレビの収録で占い師さんが『気が強い』なんて説明していました。詳しくは聞きませんでしたが…でも確かにこの木は強い」。公園管理係長の高橋裕一さん(63)は言う。
数々の政治闘争の舞台となり来年で開園110周年となる公園はいま、「現代の恐竜」にもたとえられる原発への反対デモがにぎわす。それをイチョウはひっそりと見守っている。 (浅田晃弘)
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