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荒川を越えると高い建物は少なくなり、ゆったりとした郊外の雰囲気に変わる。そこを貫くひと筋の直線が「日暮里・舎人ライナー」だ。陸の孤島だった住宅地を山手線駅と結んだ全長9.7キロの新交通システムは、開通から5年がたった。
足立区立郷土博物館によると、古代、貴族や皇族に仕える下級役人のことを指した「舎人」が、初めて地名として古文書に登場するのは1500年代、戦国時代のことだ。舎人氏という武家が、この地を支配していた。江戸時代に入ると、舎人氏の一部は尾張徳川家の家臣となるため移っていった。その名残として、名古屋市中心部には「舎人公園」が存在する。
こぢんまりとした名古屋の公園と違い、都立舎人公園は、東京ドーム13個分の広大な敷地を誇る。戦時中に防空緑地となった自然を生かし、スポーツ施設や、池や林が整備された。アクセスがよくなったことで、都心からも多くの人たちが訪れるようになった。
郷土博物館の学芸員・多田文夫さん(49)は「ライナー開通でマンションが増え、徐々に街並みは変わっているが、自然が豊かで歴史の込められた土地のよさを忘れず、調和した街に発展していってほしい」と話す。 (土屋善文)
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