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「東京のオキナワ」。福生の市街地と隣り合わせの米軍横田基地を見たら、そんなふうに形容したくなった。福生のほか、武蔵村山、羽村、立川、昭島各市と瑞穂町にまたがる敷地は、東西2.9キロ、南北4.5キロ、総面積713ヘクタール。フェンスの内側には、米軍専用の住宅やショッピングセンターが立ち並ぶ。事実上、日本の行政権は及ばない。
返還の見通しが立たないなか叫ばれるようになったのが「軍民共用化」構想だ。石原慎太郎前東京都知事は1999年、この公約を掲げて初当選した。
だが、石原氏は在任中に構想実現のめどをつけられなかった。代わりに、始まったのが「軍軍共用化」。昨年3月に航空自衛隊・航空総隊司令部が配置され、むしろ、基地機能が強化された。掛け声倒れの公約は「最低でも県外」がとん挫し、民主党政権崩壊のきっかけとなった沖縄の普天間飛行場の移設問題とダブって見える。
「横田基地の撤去を求める西多摩の会」の高橋美枝子さん(71)によると、昨年は米陸軍部隊によるパラシュート降下など、これまで少なかった訓練が増えた。「有事の際、基地が攻撃されたら周辺の住宅街も巻き添えになる」と心配する。今月23日には都議選がある。基地の将来について、大きな議論をする機会としたい。 (小松田健一)
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