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旅情を誘う光景が欧州のターミナル駅にもたとえられてきた。行き止まりとなった上野駅13〜17番線の地平ホーム。かつては18番線もあった。東北・高崎・常磐線の終着駅は戦後、出稼ぎや集団就職で上京する人たちの「玄関口」だった。
3月14日、そんな上京のシンボルが大きく変わる。東北・高崎線が東海道線へ、常磐線は品川駅まで直通運転する上野東京ラインの開業だ。「上野は俺らの心の駅だ」と井沢八郎が「あゝ上野駅」で歌った地平ホームに止まる列車は減る。
駅の個性が失われることで「上野が通過点になってしまう」と心配する声は多い。だが、上野観光連盟会長の二木忠男(ふたつぎただお)さん(61)は自信を持つ。「アクセスが良くなるのはいいこと。上野は歴史、文化の宝庫。横浜、静岡から来てくれる人が増えるはず」
戦前建築の駅舎を壊し超高層化する構想がバブル期に浮上したとき、二木さんも景観を守るため反対した。その後、計画は立ち消えになった。蓄積された歴史を大切にする限り、この街を最終目的地にする人は減ることはない。 (小形佳奈)
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