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今から70年前、この上空も飛んだであろう米軍機から見えたのは、明治以来の広大な軍事施設だった。サッカー場などがある北区西が丘は、陸軍兵器補給廠(しょう)があった場所。兵器の購入や、保管、修理、支給などを行っていた。
戦後になって軍用地の大半を米軍が接収。住民らの軍用地解放運動が実を結び、徐々に返還が進んだ。跡地は団地や学校、スポーツ施設などに変わった。区内の米軍接収地が完全に無くなったのは大阪万博の翌年の1971年。ベトナムではまだ戦争が続いていた。
解放運動中の東京五輪では、区内を聖火リレーが通過し、2万5000人が歓迎した。「平和の祭典」は軍事都市の記憶を消し去る熱狂をもたらした。
そして2008年、スポーツにおける国際競争力強化を狙う「ナショナルトレーニングセンター」がオープン。今から5年後の東京五輪・パラリンピックを目指すアスリートが汗を流す。車いすフェンシングの安直樹選手(38)は「五輪選手と一緒に練習できる」と笑顔だ。ボイコットする国・地域もなく、バリアフリーな祭典であれば。 (中村信也)
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