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連載「望」が今回、100回目を迎えた。重ねた6年間で、東京の玄関口「Haneda」の景色は大きく変わった。
水面を滑るように航空機が飛び立ち、降りる。海に突き出す形で建設したD滑走路が完成し、供用を開始したのが2010年10月。新たな国際線ターミナルも整備された。
見渡せば、恐竜が向かい合ったような姿の東京ゲートブリッジが江東区若洲と中央防波堤埋め立て地を結んだ。東京スカイツリーも首都の新たなシンボルとしてたたずんでいる。
南米アルゼンチンから吉報が舞い込んだのは13年秋。20年東京五輪・パラリンピックの開催が決定した。国は外国人観光客の増加を見込み、羽田発着の航空機を増便するよう検討を開始。お膝元の大田区では、観光客を取り込もうと、国家戦略特区を活用した全国初の「民泊」が始動している。
「地域の存在感を示す時。空港を利用する人に街にも来てほしい」。地元の銭湯でつくる大田浴場連合会の渡辺孝司会長(57)も五輪を見据える。空のにぎわいは根付くか。視界良好といきたい。 (杉戸祐子)
◆飛行6年の舞台裏
空から東京の今を六年観察してきた「望」は、二〇一〇年一月十日にスタート。初回は「羽田空港」。百回目の今回、同じ場所を取り上げた。
当初は月三回の掲載だったが、現在は月一回。紙面化に向け、写真部員は取材場所の上空をヘリコプターで二回飛ぶ。一回目は周囲を旋回し、東西南北各方向から、計六百〜七百枚ほど撮影。「絵になる」方角を探る作業だ。写真部デスクが高度も含めて撮影位置を決定、本番撮影となる。
撮影は、天気が良く、かつ視界が見通せる日に行う。東京ヘリポート(江東区新木場)の本社格納庫では、搭乗前に写真部員と航空部員が、撮影位置などを綿密に打ち合わせる。写真部員が座るのは機体右側の機長の後ろの席だ。
晴天の日が多い冬場はよいが、梅雨時など天候不良が続く季節も。このため、取材対象は掲載一カ月以上前に決め、余裕を持って撮影している。 (写真部デスク・笠原和則)
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