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夏の盛り、九十九里浜の南端にある釣ケ崎(つりがさき)海岸(千葉県一宮町)は、サーフボードを抱えた男女でにぎわう。1年を通して波が打ち寄せ、サーファーたちが技術を磨く「道場」として知られる。
戦後、米国人たちが外房や湘南などでサーフィンを楽しむようになり、日本の若者たちにも広まった。釣ケ崎海岸のサーフポイントは、サーファーの間で通称「志田下」と呼ばれ、海外でも「シダシタ」で通じる。由来は、地元出身の故・志田利寿(としじゅ)さんと家族らが1958年から27年間、浜辺で海の家を営んでいたからだ。
渚(なぎさ)の景色は、潮の満ち引きの具合で毎日、表情を変える。一宮町で育ったプロサーファー大原洋人(ひろと)さん(20)は潮風を受けながら「波を見ているだけで落ち着く場所」と教えてくれた。
町には年間約60万人が波乗りに訪れ、移住者も増えている。町がさらに盛り上がりそうなのが、2020年の東京五輪。五輪史上初のサーフィン競技が、志田下で開かれる。3年後の夏、潮騒が心地よい海岸に、五輪の歓声がうねりとなって押し寄せるはずだ。 (中山岳)
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