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幻想的な氷瀑をたたえる白猪の滝=愛媛県東温市
愛媛県東温市の白猪の滝で1月中旬、流れ落ちる滝が凍ってしまう「氷瀑」と呼ばれる幻想的な光景に出会った。厳寒の影響で、自然が氷の芸術を創造した。滝全体がまるで氷の彫刻のような姿だ。完全凍結ではなかったが、氷の中を少しだけ流れる水の音に趣があった。冬枯れの森と真っ白な氷とのコントラストに胸が高鳴った。
滝の高さは961メートル。重信川の上流、皿ケ嶺連峰県立自然公園の中にある。標高は約700メートル。松山市内から約25キロ。無料駐車場から整備された山道を約1300メートル登る。温暖な瀬戸内海地方だが、この地域は冬の一時期、雪と氷の世界に。1月上旬に今季最強の寒波が到来し、数年ぶりの氷瀑になった。無数の氷柱が氷のシャンデリアのように美しい。
正岡子規と夏目漱石も訪れ、多くの俳句や短歌を詠んだという。二人の句碑が滝の入口に建つ。「追いつめた鶺鴒見えず渓の景」(子規)、「雲来り雲去る瀑の紅葉かな」(漱石)。子規は明治24年8月、漱石は同28年11に観瀑した時の句だ。季節は違うが、約130年前の俳句に心癒された。
四国地方整備局などが企画した四国の誇る景観「四国八十八景」に、厳寒の氷像アート「白猪の滝」として選定される。四季を通じて違う顔を見せるが、滝の水が凍りつく冬の幻想的な風景は圧巻。やはり、氷瀑なのだ。地元の観察者は「例年2月中旬までで、冷え込みが数日続いた日が良い」と話す。再び訪れたいと思う。(堀内洋助)
【撮影データ】ニコンD850 AF-Sニッコール18〜35ミリf3.5〜4.5G 250分の1秒 絞りF8 ISO400 露出補正+1
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