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神田川南岸の低地に位置する早稲田(新宿区)の地名は、江戸時代の早稲田村にちなむ。生育の早い稲の田を意味するとされ、水田やミョウガ畑が広がっていたこの地は、明治以降、早稲田大学を中心とする学生街へと変貌した。
尾張藩下屋敷があった一帯には、明治から終戦まで旧陸軍の施設が設けられた。現在は戸山公園や都立戸山高校、学習院女子大、国立感染症研究所などが並ぶ。戸山公園にある江戸期の築山「箱根山」は、23区内で最高峰の標高44.6メートル。頂に登れば、少し見下ろす高さに360度パノラマの桜が楽しめる。園内には陸軍戸山学校軍楽隊の野外演奏場跡も残り、歴史の重なりを感じられる。
早稲田大周辺は学生でにぎわい、この時期「祝ご入学」の張り紙が目につく。地元商店連合会の北上昌夫会長(71)は「街と学生が一体」と語る。学生の姿が減る夏休み時期に開く催しや秋の大学祭では、商店会と学生が協力し合う。商店主は高齢化で60歳代が中心だが、スマホ決済などIT技術も活用して学生にアピールし、大学との共存を続ける道を模索している。 (増井のぞみ)
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