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幽玄な太陽と群れ飛ぶナベヅル=愛媛県西条市で
愛媛県西条市の田園地帯で11月中旬の早朝、「クォークォー」と鳴きながら群れ飛ぶ“冬の使者”ナベヅル。田んぼから飛び立った後、雲のすき間から顔を出した太陽と運よく交差してくれた。満月のように幽玄な太陽を見て、浮世絵の名作・歌川広重「月に雁」が思い浮かんだ。越冬地の九州に渡る途中に、落穂などをついばんで体力を回復するために立ち寄ったのだろう。この日は34羽を確認したが、四国では珍しい光景だった。
西条市のナベヅルは10月下旬、2羽の飛来が確認された。その後、日を追うごとに増えて、約一ケ月後には最大35羽に。残念ながら11月30日は、3羽しか確認できなかった。越冬地に向け旅立ったのだろう。12月3日、愛媛県の南にある「西予市宇和町の農耕地で11羽を観察した」と地元小学校のブログに載った。この群れだろうか。
ナベヅルは冬鳥として農耕地などに渡来するツル科。全長は1メートルで、翼を広げると約1.8になる。名の由来は、体が鍋底に付いたようなすす色をしているからという。漢字は「鍋鶴」と書く。中国東北部とロシア・アムール川流域などで繁殖する。鹿児島県出水市の出水平野は越冬地として知られ、世界の9割ほどが集まるという。同県出水市(ツル博物館クレインパークいずみ)のホームページによると、今年の渡来数は12月5日現在、15,909羽。
四国では近年、ナベヅルの飛来が愛媛県西条市と西予市、高知県南国市と香南市など各地で確認される。鹿児島県出水市に一極集中するのを避けて、四国に分散して越冬することをナベヅルに期待したいと思う。(堀内洋助)
【撮影データ】ニコンD850 AF-Sニッコール80〜400ミリf4.5〜5.6G 1000分の1秒 絞りF8 ISO400
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