商品概要
酒好きたちが親しみを込めて「酒都(しゅと)」と呼ぶ。格安の居酒屋が多い京成立石駅周辺は近年、1000円も出せばべろべろに酔える「せんべろの街」として、若者も注目する。
北口の「呑(の)んべ横丁」は狭い路地に居酒屋やスナックがひしめき、平成が終わろうとする今も昭和の雰囲気を残す。1954年ごろ、金魚店や仕立ての店が並ぶ商店街から始まり、周辺の町工場の発展とともに、大衆居酒屋が増えていった。
「バブルがはじける前は、とにかく活気があった」。横丁のスナック「You」のママ、仁科ゆう子さん(60)が89年の開店当時を懐かしむ。景気の良い話が飛び交い、銀行員や経営者らが高級ウイスキーを競うように飲んだ。「呑んべ横丁がなくなるのは惜しいけれど、みんなの記憶に少しでも残ってくれたら」と寂しげに語る。
京成押上線の高架化に伴う再開発で、呑んべ横丁の店は12軒ほどに半減した。古い建物が多い駅前には2025年度までに、地上35階建てのタワーマンションと13階建てのビルができ、酒都の風景も大きく変わる。 (加藤健太)
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