商品概要
ランナーが、思い思いの息遣いで足を運ぶ。傍らで堀は豊かに水をたたえ、桜や菜の花が彩りを添える。令和の時代が近づく中、皇居はたたずまいを保ち、平成最後の春を迎えた。ここ数年の変化と言えば、花見の客に外国人が増えたことか。
「季節によってアジサイやムクゲ、ツバキも咲く。足元にツクシやフキを見つけたことも」。皇居ランのマナーを周知し、観光客への対応ができる人材を育成する一般社団法人「おもてなしランナー協会」の尾口優子さん(43)は魅力を語る。タヌキや渡り鳥を見かけたり、外国人観光客から旧江戸城の石垣や門について聞かれたり。「東京の真ん中を走りながら、自然と歴史に触れられる」
人気の高まりに伴い、ランナーと歩行者の接触事故などが問題になった。地元の自治体や町会、ランナーサポート施設などが連携し、歩行者優先、周回は反時計回りなどのマナーを制定。緩やかな決まりのもと、皇居は「ランナーの聖地」であり続ける。尾口さんは「2020年東京五輪・パラリンピックに向け、皇居から東京全体に良い印象を持ってもらいたい」と願う。 (杉戸祐子)
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