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仲良く舞う世界的な珍鳥クロツラヘラサギ=愛媛県松山市の重信川河口で
愛媛県松山市の重信川河口で6月中旬、中洲にある流木の枝に着地する世界的な珍鳥クロツラヘラサギ。2羽が仲良く翼を広げてくれた。枝の上で、瀬戸内に沈む夕日に照らされて鮮やか。ヘラの形をした長いくちばしが印象的。飛ぶと翼の先端が黒いので若鳥とわかる。梅雨の時期に、日本で出会うのは、珍しい。
クロツラヘラサギは数少ない冬鳥または旅鳥として、干潟や河口、湖沼、湿地などに渡来するトキの仲間。朝鮮半島の島と中国の一部で繁殖するだけで、世界的に貴重な鳥だ。環境省レッドデータブックでは絶滅危惧B類に指定。日本の主な越冬地は、熊本県や福岡県、鹿児島県など九州地方。この2羽は繁殖地に向かう途中、四国に立ち寄り、この川でエネルギーを補給しているのだろうか。全長は74センチ。
2羽との出会いは、バードウオッチングを楽しんでいた時だった。遠くの中洲で、くちばしを翼の中に入れて休息する不思議な鳥を見つけた。一瞬、シラサギと思ったが、双眼鏡で詳細に見るとクロツラヘラサギ。とても驚いた。数日間、観察を続けると、昼間はいつも中州で寝ている。活動するのは日の出と日没前後だけ。くちばしを水中に入れ、首を左右に振りながら小魚など餌をとる光景はユーモラスだ。時々、くちばしで相手を羽づくろいする「相互羽づくろい」という求愛行動が見られた。この若鳥はカップルなのだろうか。
重信川河口は環境省の「シギ・チドリ類重要渡来地」及び「日本の重要湿地500」に指定される。河口の干潟や湿地に、季節ごとに様々な野鳥が渡来する。特に春と秋の渡りの時期は数が多い。これからも観察を続けて行きたい。(堀内洋助)
【撮影データ】 ニコンD500 AF-Sニッコール600ミリf4+TC14E 500分の1秒 絞りF5.6 ISO800
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