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隅田川沿いに、高層マンションやビルが立ち並ぶ南千住エリア。その一角を占めるのが、1897(明治30)年に開業したJR貨物隅田川駅だ。プラットホームはないが、規則正しく並んだコンテナ車が発車の順番を待つ。隣接する南千住駅は東京メトロ、JR東日本、つくばエクスプレスが通る。単身者や家族連れ、外国人からも「交通の便が良い」として人気の街となっている。
しかし、南千住はもともと住宅街ではなかった。江戸時代、火葬場や刑場が設置され、埋葬された死者は20万人に上るともいわれる。延命寺の首切り地蔵尊は、その菩提(ぼだい)を弔うために建立された。明治になると企業が進出し、工業地帯の色を強める。航路や鉄道が発達し、常磐炭鉱の石炭を輸送する玄関口としての役割も担った。高層マンションが建ち始めたのは、平成に入ってからだ。
一方、地域の商店は減っている。南千住駅前コツ通り商店街の杉山六郎会長(84)によると、同商店街の店数は最盛期の4分の1ほどになった。杉山さんは「地域に緑あふれる公園が少ない。人が集まる仕掛けが必要だ」と話す。 (天田優里)
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