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月光の道に 波の花妖しく
高知県土佐清水市の足摺岬(あしずりみさき)に今月上旬、訪れた。展望台からの視界は270度もあり、地球が丸いことを実感。日が沈み、海に月光の道「ムーンロード」ができた。月齢は10。W杯で人気が高まるラグビーのボールのような楕円(だえん)形をした月が印象的。船が長時間露光で長い光跡を描いた。灯台の光と月に照らされた岩礁と波の花も神々しい。断崖の下から波の砕ける音が絶えまなく響いた。自然と人工の光の競演に魅了された。
足摺岬灯台は高さ約18メートルで海面からは約60メートル。光度46万カンデラ。約38キロ先まで光が届くという。テレビの台風ニュースでお天気カメラに映される灯台として知られる。大正3(1914)年4月に点灯し、沖を行き交う船の安全を見守り続けて今年で105年に。戦争による被害は免れたが、昭和35年に八角形のデザインに改修された。
未明に月が沈むと、満天の星が現れた。太平洋の上に輝く無数の星は実に神々しい。まるで、プラネタリウムのようだ。
翌朝、すぐ近くの四国霊場第38番札所金剛福寺を参拝し、撮影の成功を祈願した。境内の池に秋の色がほんのり映る。前の霊場の岩本寺からの道のりは約100キロもあり、札所間距離では最も長い。歩き遍路にとって、まさに修行の道という。
その後、巡礼や観光客が利用する万次郎足湯に浸かり、徹夜の足をリフレッシュ。黒潮の荒波が洞門をつくった有名な白山洞門が眼下に望めた。湯は天然温泉で、無料。四国の文化「お接待」に心から感謝したい。(堀内洋助)
紙面より一部抜粋(2019年10月24日発行 東京中日スポーツ)
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