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フォトサービス Z-143  2019年8月9日 夏(下)奥大井湖上駅(静岡県川根本町)

フォトサービス Z-143 2019年8月9日 夏(下)奥大井湖上駅(静岡県川根本町)

Z-143-2L他
価格:710円~8,150
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商品概要

「ぽつんと」の神秘 

日本有数の秘境駅で知られる南アルプスあぷとライン(大井川鉄道井川線)の奥大井湖上駅を七月下旬に訪れた。駅からレインボーブリッジ(鉄橋)の脇の遊歩道を歩いて約二十分、展望台から見下ろす駅は、接岨(せっそ)湖(長島ダム)に浮かぶ小島のように見える。実際は突き出た半島の先端部分なのだが。夏の光に照らされた緑色の湖面は神秘的だ。その時、四両編成の列車が現れた。緑の大自然と赤い列車が織りなす絶景に息をのんだ。
 奥大井湖上駅は一九九〇年十月に開業した。標高四九〇メートル。湖岸を走っていた井川線の一部がダム湖に沈むことになり、湖上を渡る線路と、水没した犬間駅に代わる同駅がつくられた。今では海外からも大勢の観光客が、この秘境駅を目指す。大井川鉄道によると昨年の一日平均乗降客数は六十六人。年間では約二万四千人になるという。
 今月一日、井川線は開業六十周年を迎えた。かつてダム建設用資材などを運ぶ専用鉄道だったが、五九年に観光列車へと役割を変えた。
 機関車の歯車と線路の真ん中に施設されたラックレールの歯形をかみ合わせて登坂するアプト式区間を有することでも有名だ。日本唯一のアプト区間は本線終点の千頭(せんず)駅から奥大井湖上駅に向かう途中にある。アプトいちしろ駅でアプト式電気機関車が連結され、一駅先の長島ダム駅まで90‰(パーミル)(千メートルの間に九十メートル上る)という日本一の急勾配を上がっていく。歯車をがっしりととらえ、ギーギーと鳴るレールの音に心が躍った。
 奥大井湖上駅に観光客が書き記した「駅ノート」が置かれていた。「大自然と人工物のコラボがいい」「結婚二十周年で訪れた」。旅人の思いがあふれていた。 (堀内洋助)

紙面より一部抜粋(2019年8月9日発行 東京新聞)

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