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白く大ぼけ…幽玄橋梁
徳島県三好市の吉野川の大峡谷で知られる大歩危(おおぼけ)で17日朝、JR土讃線の第2吉野川橋梁を渡る列車を狙った。大雨で激流となった川と灰褐色の岩肌のコントラストが印象的だ。上り二番普通列車が来るころ、V字谷に霧が湧き出して、ぐんぐんと押し寄せてきた。橋梁が霧に包まれ始めた一瞬、単行の阿波池田行き気動車が橋梁を通過。水墨画を見るような幽玄な光景に魅了された。
大歩危は吉野川中流域に広がる渓谷だ。長さは約8キロで、下流3キロが小歩危(こぼけ)と呼ばれる。彫刻のような奇岩の景観が美しい。約1億年前の地層が隆起して、川の浸食で形成された。「大歩危小歩危」の名で親しまれ、2014(平成26)年3月、国の天然記念物に、翌年10月、国の名勝に指定された。この渓谷は「大股や小股で歩いても危険」ということで、その名が付いたという。
観光遊覧船に乗って、川下りを体験しようと乗り場に訪れたが、本日は増水のため運行中止に。外国からの観光客数人も途方に暮れていた。帰りに、渓谷沿いに整備された国道32号線横の遊歩道を歩いて「川下り」を行った。運良くタカ目ミサゴ科の大きなミサゴが目の前をゆっくりと横切り、その後旋回して戻ってきた。増水で水が濁り、餌の魚が捕れないのだろう。
JR大歩危駅までは遊覧船乗り場から徒歩約20分だが、約1時間かかって到着した。無人駅だが、特急は停車する。外国人が5人降りてきた。本日は日本人より外国人が目立った。
大歩危の吉野川はエメラルドグリーンに見えるという。紅葉の時期に再び、訪れたいと思った。(堀内洋助)
紙面より一部抜粋(2019年7月25日発行 東京中日スポーツ)
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