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ひかる巣作り 富士が縁結び!?
栃木県小山市の渡良瀬遊水地で17日朝、雪化粧した秀麗な富士山がくっきりと望めた。約130キロも離れているが、強風のため見晴らしが良かった。6月中旬に8合目まで雪に覆われる富士は実に珍しい。その時、桜づつみ前のヨシ原に立つ人工巣塔にコウノトリ「ひかる」が舞い降りた。朝の光を浴びて印象的。日本の名峰富士山と国の特別天然記念物コウノトリのツーショットに魅了された。
ひかるはコウノトリの野生復帰に取り組む千葉県野田市で2016年6月に放鳥された3歳の雄。全長は110センチほど。小山市が設置した人工巣塔とその周辺に昨年2月から滞在する。まるで巣塔がマイホームのようだ。時々いなくなるが、しばらくすると戻ってくる。昨年8月、小山市がひかるに特別住民票を発行して話題になった。
この春、ひかるは巣材を運んで懸命に巣作りを行った。くちばしを「カタカタカタ」と打ち鳴らすクラッタリングも見られた。求愛なのだろうか。残念ながら近くに雌はいない。
コウノトリの国内最後の1羽は1971年に捕獲された。その後、兵庫県豊岡市のコウノトリの郷公園で人工繁殖され、2005年9月から野生復帰の放鳥がスタート。今年3月現在、約140羽が日本の空を飛ぶ。偶然、1羽の雌が遊水地に来てくれないだろうか。
渡良瀬遊水地を撮影して28年になるが、梅雨の時期に8合目から雪化粧した富士山を見るのは珍しい。ましてやコウノトリの姿も。まもなく7月1日の富士山山開きを迎える。山頂まで登山できるのか懸念される。(堀内洋助)
紙面より一部抜粋(2019年6月27日発行 東京中日スポーツ)
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