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木星、土星、天の川…星降る湖
栃木県日光市の湯ノ湖で11日未明、満天の星空に出会った。深夜0時すぎ月が沈むと、次第に星が輝きを増した。南東の空=写真(上)中央=に天の川が淡く広がった。雲状の光の帯が神々しい。天の川を挟んで、明るく輝く木星と土星が並んでいた。木星の西には、さそり座の有名な赤い星、1等星アンタレス。春の星空を満喫していると、風が止んだ一瞬、湖面に星がきらめいた。遠い低空の雲に関東平野の街灯りが反射して印象的。奥日光の大自然がつくる星と光のドラマにとても感動した。
湯ノ湖は火山の噴火でつくられた堰止め湖。湯川で結ばれる下流の中禅寺湖とともに日光国立公園を代表する湖だ。標高は1478メートル。周囲は約3キロで、約1時間で歩ける人気のハイキングコースに。湯元温泉の硫黄の匂いが心地良かった。
朝は大勢の釣り人が集った。同湖はヒメマスとニジマスなどが生息するマス釣りの名所。残雪の山が、水鏡の湖面に映り、星空並みの景観を描いてくれた。
訪れた11日は愛鳥週間(10〜16日)の2日目。下流の戦場ケ原でバードウオッチングを楽しんだ。キビタキやコサメビタキ、ノビタキなど夏鳥も勢ぞろい。特に、黄色の鮮やかな姿で人気のキビタキは何度も空中で虫を捕ってくれた。
湯ノ湖と戦場ケ原は2005年秋、国際的に重要な湿地を保全するラムサール条約に「奥日光の湿原」として登録された。豊かな奥日光の自然は絶景を見せてくれる。夜は満天の星空、昼は夏鳥のいる風景。梅雨入り前に再度訪れたいと思った。(堀内洋助)
紙面より一部抜粋(2019年5月23日発行 東京中日スポーツ)
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