商品概要
お日様たまご、都会を染める
埼玉県飯能市の子ノ権現(ねのごんげん)付近の山から12月中旬、都心から昇る日の出を撮影した。約60キロ先の東京タワーと超高層ビル群の後方に、大気の影響で歪んだ太陽が現れた。もやに包まれたビル群と朱色の朝焼けが印象的だ。太陽はだ円の形でぐんぐんと昇り、数十秒後に丸くなった。静と動が織り成す冬の絶景に魅了された。日の出の数時間前に子の権現に到着した。厳しい寒さで、気温は氷点下3度。しかし、満天の星と都会の灯りのイルミネーションのコントラストの美にとても感動した。特に、流れ星が都心の上空に出現したのが印象的だった。スマートフォンの高度計は610メートルを示した。子ノ権現の名は通称で、正式には大鱗山雲洞院天龍寺(だいりんざんうんどういんてんりゅうじ)という。天台宗の寺院だ。911年に子ノ聖(ひじり)が創建し、1100年以上の歴史を誇る。今では足腰守護の神仏として広く信仰されている。境内には重さ2トンの鉄のわらじや大きな夫婦下駄が鎮座。日の出の撮影を終えて、境内に入り、本堂の裏手にある奥の院を訪れた。ここは「東京スカイツリー眺望処」の看板があるビュースポット。標高はスカイツリーと同じ634メートルという。この日は快晴で、スカイツリーはまだ見えていた。双眼鏡でのぞくと、羽田空港に離発着する航空機も。「わー、すっげえ景色だ」と参拝客らの歓声が聞こえた。サイクリングやハイキングでの来訪も多い。今月末にはスカイツリーから日が昇る。また訪れたいと思った。
紙面より一部抜粋(2019年1月10日発行 東京中日スポーツ)
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