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ただ今、太陽を通過中です
香川県坂出市大屋冨町の県道16号から18日、瀬戸大橋に落ちる夕日を狙った。大橋までの距離は約6キロ。昼間は快晴だったが、日没15分前、太陽は雲に隠れてしまった。途方に暮れていた時、雲の切れ間から再び夕日が顔を出した。大橋に夕日がかかっている時間は2分ほど。祈りを込めて、列車とクロスするシャッターチャンスを待った。超望遠レンズでのぞくと夕日はぐんぐんと落下する。幸いにも岡山行き普通列車がぎりぎりに夕日の中を通過してくれた。夕日を貫く列車のユニークな光景に魅了された。瀬戸大橋は、本州の岡山県倉敷市と四国の香川県坂出市を結ぶ10の橋の総称である。上部に瀬戸中央自動車道と下部にJR瀬戸大橋線が通る。鉄道道路併用橋としては世界一長い。全長は9368メートル。吊り橋と斜張橋、トラス橋などの橋梁が連なる光景は壮観だ。今年4月に開業30年を迎えた。地平線に夕日が沈む時、蜃気楼現象の「だるま夕日」がこの日、同じ場所から撮影できた。島が多い瀬戸内海では見る機会が少ない。地元の観察者によると、10月と2月の18日前後の年10日間ほど見られるチャンスがあるという。訪れた日は絶好の観察日で、鉄道ファンと写真愛好家ら約40人が集った。練馬と川崎ナンバーの車も。地元のテレビ局も取材に来ていた。夕日を貫く列車と、だるま夕日の写真はともに気に入った一枚になった。選択に迷ったが、夕日を貫く列車を選んだ。あと10数秒遅いと列車はクロスしなかった。来年2月、再び挑戦したいと思う。
紙面より一部抜粋(2018年10月25日発行 東京中日スポーツ)
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