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夕波に歴史の光・・・90秒の船旅
愛媛県松山市の三津浜港に18日、港内で運航される「三津の渡し」を訪れた。夕暮れに、昭和を感じるレトロな渡し船と街の灯りが海面に映った。揺らいだ光のきらめきが印象的だ。ライトアップされた松山城も遠くの山に。静かな漁港に響く「ドッドッド」と船の音。イソシギが「ピーイ」と鳴いて船と並走した。歴史と文化のある港町の夕景に心から魅了された。三津の渡しは三津と港山地区の間、約80メートルを結ぶ市営の渡し船。乗船時間は1分半ほど。正式名称は、松山市道高浜2号線の一部で、公道なのだ。約400年前から、物資輸送や生活の足として利用されてきた。1970(昭和45)年、手こぎからエンジン付きの船に。現在の船は、定員13人で全長9メートル。運航時間は午前7時から午後7時まで。年中無休で無料。対岸に船がいた場合、ブザーを押すと迎えに来てくれる。市のホームページによると年間約4万人が利用するという。三津の港は江戸時代から松山の玄関口として大いに栄えた。当時のにぎわいを伝える古民家や史跡が今も多く残る。「坊ちゃん」で有名な夏目漱石も旧制松山中学に赴任する時、この港に降り立った。漱石も渡し船に乗ったであろうか。最近、「三津の渡し」がテレビや雑誌などで紹介され一躍観光スポットに。人気番組であるNHKのブラタモリ(2016年1月放映)にも登場した。船長さんは「昼間は中国や台湾など外国人の観光客が目立つようになった。3分の1が外国人の日もある」と話した。渡し船と港町の風情が観光客をホッコリさせてくれる。
紙面より一部抜粋(2018年9月27日発行 東京中日スポーツ)
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