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生まれたての水に祝福の光芒
栃木県塩谷町の尚仁沢(しょうじんざわ)で8月31日朝、原生林の隙間から霧に光が差し込むと見事な光芒が現れた。霧のカーテンに模様を描く光のドラマだ。時間は午前6時15分ごろ。光芒の初めは1本だったが、時間とともに増えていった。清らかな湧水の流れと輝く光芒の共演にとても感動した。翌日から9月に。ゆく夏を惜しむかのような絶景に魅了された。尚仁沢湧水は、環境省選定の全国名水百選の一つ。高原山山ろくの標高590メートル付近から湧き出ている。周辺は広葉樹の原生林でコケが美しい。日量は約6万5千立方メートル。1997(平成9)年には全国37都道府県から集まったおいしい水の中で、全国1位に認定された。湧水地点へは駐車場から沢沿いの遊歩道を30分ほど歩く。水が何カ所からも湧き出す湧水群と呼ばれる壮観な光景が見られる。水温は四季を通じて11度前後と一定。手ですくって飲むと、冷たくてとてもうまい。ペットボトルの水を捨てて、冷たい湧水に入れ替えた。ここから湧水の一部は導水管で東荒川ダムそばの尚仁沢名水パークに運ばれる。水くみ場があり、大勢の行楽客が訪れている。4年前の夏、環境省は塩谷町に東京電力福島第1原発事故にともなう指定廃棄物の最終処分場の建設計画を伝えた。場所は尚仁沢湧水から約4キロ先の国有地。すぐに町議会は候補地の白紙撤回を求める意見書を可決。候補地が尚仁沢湧水に隣接し不適切と表明した。今も「最終処分場はいらない」「絶対反対」「水源を守ろう」の立て看板が道沿いに立ち並ぶ。
紙面より一部抜粋(2018年9月13日発行 東京中日スポーツ)
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