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島々染めて日はまた昇る
香川県三豊市詫間町の紫雲出山(しうでやま)から3日、瀬戸内海の島々と朝焼けを撮影した。日の出約45分前、地平線の雲が色を染め始めた。時間とともに、紫から赤、朱色と鮮やかに色づいた。島のパノラマは壮観で、漁船の明かりも印象的。遠方に瀬戸大橋がかかり、沿岸の灯りが郷愁を誘う。瀬戸内海の夏の絶景に心打たれた。紫雲出山は標高352メートル。荘内半島の中央に位置し、山頂など数カ所ある展望台からの眺望は素晴らしい。名前の由来は「玉手箱をあけると白い煙が立ち昇り、紫の雲となり、この山にかかった」という浦島太郎伝説から。山道途中の看板に記されていた。まるで、今回の赤紫の雲の風景に似ている。前日は徳島県阿波市で国の天然記念物の土柱(どちゅう)を撮影した。砂礫層の浸蝕でできた土の柱の奇勝だ。3日は台風7号の影響で予報は雨だったが、ダメ元で紫雲出山を訪れた。幸いにもこの周辺だけは晴れ。但し時々、小雨が降っては止んだ。不思議な天気だった。展望台から20数キロ先に瀬戸大橋が望めた。本州の岡山県倉敷市と四国の香川県坂出市を結ぶ。世界一長い鉄道道路併用橋で延長は13・1キロ。80〜200ミリの望遠レンズに切り替えて、アップで撮影した。吊り橋と斜張橋の塔から斜めに張ったケーブルのシルエットが朝焼けに浮かんで印象的だった。瀬戸大橋は今年4月、開通30周年を迎えた。その時、強風で中止された記念花火大会が8月11日に実施される。場所は坂出市の坂出港中央ふ頭。1万5千発の大輪が夜空を彩る。紫雲出山の展望台から見てみたい。
紙面より一部抜粋(2018年7月12日発行 東京中日スポーツ)
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