商品概要
朝焼けやウグイス鳴いて山笑う
大型連休の1日、愛媛県西条市の瓶ケ森(かめがもり)の山頂で夜明けを迎えた。鮮やかな朝焼けと朝もやの中、四国山地の蒼々とした山々の連なりが荘厳だ。かつて弘法大師空海が厳しい修行をした山々だろうか。連なりの遠方に四国第2位の剣山(標高1955メートル)が望めた=写真右奥。神々しい朝の光景に心が洗われるようだった。瓶ケ森は四国山地西部にある石鎚山脈に属する山だ。標高は1897メートル。西日本最高峰の石鎚山よりは85メートル低い。男山(おやま)と女山(めやま)があり、女山が最高峰。山頂からの展望は360度の絶景だ。北は瀬戸内海、西は石鎚山、南は運がいいと太平洋が見られる。この日の撮影は石鎚山に沈む満月が狙いだった。午前1時ごろ、登山をスタート。気温は7度。森林は少なく、ほとんどササ原の斜面は歩きやすい。満月は足元を明るく照らし、懐中電灯を消して登ると心地良かった。山頂に着くと石鎚山の中腹は霧に包まれていた。月明かりに浮かぶ神秘的な光景だ。残念ながら、満月が山の後方に移動した絶好のシャッターチャンスに、霧の帯が消えてしまった。失望していた時、反対側の東の地平線上空に、見事な朝焼けが現れた。次第に空は赤と朱、黄、紫色など美しい色彩に。その時、高知県側の盆地上空に雲海も広がってきた。新緑も美しい。日の出直前、ウグイスが「ホーホケキョ」と鳴き始めた。ササ原を好むので、個体数が多いのだ。撮影しながら聞くウグイスの声は至福だった。今回は秀麗な石鎚山でなく、瓶ケ森からの絶景になった。次回は紅葉の季節に再びチャレンジしたい。
紙面より一部抜粋(2018年5月10日発行 東京中日スポーツ)
注意事項