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白い松涛に躍る渡り鳥
千葉県山武市の九十九里浜を2日朝、渡り鳥ミユビシギの撮影に訪れた。関東地方に春一番が吹いた翌日で、太平洋からのうねりが押し寄せ、白波が立つ光景が異彩を放っていた。その時、100羽を越えるミユビシギの群れが砂浜と白波の上空を飛んだ。自然と野鳥の営みがつくる一瞬の美に魅了された。九十九里浜は房総半島東岸にある旭市の刑部(ぎょうぶ)岬からいすみ市の太東岬の間、66キロの海岸。静岡県と愛知県にまたがる遠州灘(約110キロ)に次いで2番目に長い砂浜だ。今回はほぼ中央に位置する蓮沼海岸で越冬するミユビシギを観察した。海岸は県立蓮沼海浜公園に隣接し、南北約4キロに殿下と中下、南浜の3つの海水浴場がある。双眼鏡で観察して約1時間後、遠くの南浜海岸で鳥影が動いた。さらに30分後、近くの中下海岸に移動。ミユビシギは波打ち際に生息する二枚貝フジノハナガイなどを採食する。波が押し寄せると、一斉に陸側に素速く歩く光景がかわいらしい。餌を求めて、どんどん北上した。殿下海岸付近でサーファーたちに行く手を阻まれ、Uターン。その後、一斉に南へ飛んだ。ミユビシギは旅鳥、または冬鳥として渡来するシギの仲間。九十九里浜は国内最大の生息地として有名だ。主に秋から春に見られる。4月はオーストラリアなど南からの渡りの群れが合流し、ここでエネルギーを補給するため、数が増える。北極圏で繁殖する。全長19センチの小さな鳥だ。まもなく、シギ・チドリ類の春の渡りの季節を迎える。海岸や干潟、田んぼなどに渡来する。最盛期の大型連休前後、どこへ撮影に行こうか、楽しみだ。
紙面より一部抜粋(2018年3月8日発行 東京中日スポーツ)
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