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冬枯れ包む白のベール
群馬県藤岡市上日野の鮎川(あゆがわ)で一月二十七日朝、岩清水が凍って作り出した「上平の氷瀑」を撮影した。先週初めからの厳しい寒波の影響で、見事な自然のオブジェに。まるで豪華なパイプオルガンのようだ。雪の薄化粧も魅力的。自然が描く幻想的な光景に感動した。この氷瀑はかつて、市のホームページにも紹介されていた。当時、氷瀑の対岸にあった展望場所はその後立ち入り禁止となり、未掲載に。バスの運転手は「今は訪れる人はほとんどいない。昔は仮設トイレも設営された」と語ってくれた。案内板もなくなっており少し不安だったが、撮影できる場所を探すため、沢から鮎川の河原に向かうことにした。上平バス停付近に沢があり、急峻(きゅうしゅん)だが、ここから入った。雪と氷で滑るので慎重に歩いた。氷瀑は沢を下った鮎川の右岸にあった。河原は歩きやすい。二カ所に見られ、一つは高さ約十メートル、幅約十メートル、もう一つは高さ約五メートル、幅約二十メートルとともに大きな規模だ。静かに冬枯れの風景に鎮座していた。一月下旬からの厳しい冷え込みで、ほかの氷柱(つらら)の名所も見ごろを迎えている。埼玉県秩父地方の三十槌(みそつち)の氷柱(秩父市大滝)と尾ノ内百景氷柱(小鹿野(おがの)町)、あしがくぼの氷柱(横瀬町芦ケ久保)は東京圏に近くて大人気だ。以前「絶景を行く」に掲載した梨木の氷柱(桐生市黒保根町)も見事だという。ここは道の脇にあり、駐車した車内から見られる。冬は氷柱を撮影することが多い。自然が作り出した「氷の芸術」に魅了されるからだ。今年は厳寒が続くので、まだまだ見られそう。もう少し楽しみたい。
紙面より一部抜粋(2018年2月2日発行 東京新聞)
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