商品概要
幻想世界 七色の街
埼玉県秩父市と皆野町にまたがる美(み)の山公園から二日未明、秩父盆地に発生した雲海が見られた。市街地やセメント工場の明かりが雲海に反射して、七色に輝く幻想的な光景だった。霧が濃くなると明かりは見えなくなったが、薄くなってくるとベールのかかった夜景の美しさも十分に楽しめた。夜が明けると、荒川沿いには帯のように雲海が広がり壮観だった。美の山公園は単独峰である蓑山(みのやま)(標高五八一・五メートル)の山頂にある。二カ所の広い展望台から秩父盆地が見渡せる絶景ポイント。園内には外灯がないため、晴れていると満天の星を楽しめる。今は、南の空にオリオン座が鮮やかだ。秩父の雲海は春と秋に多く、特に十一月は発生率が高い。前日に雨が降った翌朝に、晴れた場合は期待できる。早朝の冷え込みも条件だ。秩父在住の気象予報士が、ブログ「秩父の雲海予報」で翌朝の雲海が発生する確率を毎日午後九時すぎに発表している。撮影した二日の確率は77%だった。雲海観察には、秩父ミューズパークの展望台と旅立ちの丘も人気だ。荒川にかかる秩父ハーブ橋がアクセントになる。正面には朝焼けも。展望台は狭いので、譲り合って撮影したい。十二月十日まで、展望台駐車場(「P10」と書かれたエリア)は夜間開放される。工場や街の夜景と雲海がコラボレーションしたファンタジーな絶景はこの場所ならでは。心が癒やされた。次回は盆地全体に発生する日に訪れたい。
紙面より一部抜粋(2017年11月10日発行 東京新聞、2017年11月23日発行 東京中日スポーツ)
注意事項