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四万十の薫風、欄干のない橋を渡る
「日本最後の清流」とされる四万十川。大型連休の7日、高知県四万十市にかかる岩間沈下橋(いわまちんかばし)を訪れた。増水時には水の中に沈む橋で、同川の風景のシンボルだ。鮮やかな新緑の谷間から「ホーホケキョ」とウグイスのさえずりが響き渡る。水辺を観光遊覧船が運行する。その時、サイクリングを楽しむ人たちが橋を渡った。心癒やす風景の瞬間だった。サイクリングと沈下橋、清流、新緑の風情に魅了された。
四万十川は高知県西部を流れる四国最長の川で全長196キロ。柿田川(静岡県)と長良川(岐阜県)とともに日本三大清流の一つとされる。蛇行する景観は美しい。コマーシャルやポスターなどに何度も登場する。この日も岩間沈下橋で人気女優とテレビ番組スタッフがロケをしていた。
岩間沈下橋は昭和41年に架橋された。幅3・5メートル、全長120メートル。増水時の水の抵抗を少なくするため欄干がない。歩いて渡ると、水面との距離が近く、川の流れが鮮明に見られた。キセキレイが「チチン、チチン」と鳴いて飛び交った。鮮やかな黄色に魅了される。同川の沈下橋は支流を含めて47もある。住民の大切な暮らしの道だ。車は対岸を確認してから渡る。
岩間沈下橋から約7キロ上流ににある江川崎(四万十市西土佐)は「日本一暑い所」で知られる。2013年8月12日、日本の観測史上最高気温となる41度を記録した。盆地の地形とフェーン現象の影響だった。2位は2007年8月16日に記録した埼玉県熊谷市と岐阜県多治見市の40・9度。この夏は清流と暑さの絶景を求めて、もう一度訪れてみたい
紙面より一部抜粋(2017年5月11日発行 東京中日スポーツ)
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