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ゆがんだ太陽 突き刺す都庁
厳寒の朝、朱色の空にシルエットで建つ都庁(高さ243メートル)から太陽が昇った。超望遠レンズでのぞくと、太陽は地球の大気で屈折してゆがんで見えた。約2分間で直径分移動するので、ファインダーの中ではぐんぐんと上昇した。その時、都庁の上階から4つの光の円が出現。展望室を通過した光なのだろう。まるで都庁に目玉ができたような不思議な光景。神々しい冬景色の一瞬だった。
日の出の撮影は今冬、埼玉県飯能市の天覧山(てんらんざん)から行った。標高197メートルの低山だが眺望は良く、関東平野を一望できた。特に、狭山丘陵越しに見える新宿の高層ビル群は印象的だった。距離は約50キロ。東京タワーは半分がビルに隠されていたが、東京スカイツリーは良く見えた。反対側には秀麗な富士山も。
天覧山はかつて、愛宕山または羅漢山と呼ばれた。「1883(明治16)年に明治天皇が山頂から軍の演習を統監され、それを記念して天覧山と名を改めた」と山頂の碑に記されていた。今は県立奥武蔵自然公園の玄関口となり、ハイキング客に人気が高い。また、初日の出を拝む人気スポットの一つで、今年も大勢の人が訪れた。
山頂から見る日の出の方位は、冬至から夏至までの半年間に約度も移動する。冬至は都庁付近で、夏至は筑波山の方向になる。残念ながら、今冬の都心からの日の出は終わった。再び都庁付近に戻るのは12月17日ごろ。ゆがんだ太陽と高層ビル群の絶景を見に再び、訪れたい。
紙面より一部抜粋(2017年2月23日発行 東京中日スポーツ)
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