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黄金色の翼一瞬の煌めき
今年は「とり年」。読者の皆さまが飛翔(ひしょう)の年になることを願い、フクロウ科のコミミズクのベストショットを。フクロウは「福が来る」として縁起の良い鳥とされる。ただし干支(えと)の酉(とり)はキジ科のニワトリ。
栃木県栃木市の渡良瀬遊水地でこの冬、広大なヨシ原を飛ぶコミミズクを狙った。夕日が翼に色を染め、一瞬、輝いてくれた。枯れたヨシの穂も朱色に彩られ、幻想的な冬景色に。コミミズクは草が刈られた堤防の土手を何度も飛び回り、獲物のネズミなどを捕食した。互いに遠く離れていたが、一度に4羽を目撃。
コミミズクは冬鳥としてシベリアなどから渡来する。全長は38センチほど。漢字は「小耳木菟」と書く。その名は頭にある耳羽が小さいことに由来。黄色い目の正面顔がユーモラスだ。
昼間は草地の中で休息し、夕方から活動を始める。運が良いと明るいうちから飛ぶ。毎年越冬で訪れ、5、6年ごとに数が多い「当たり年」に。獲物のネズミが増えるのだろう。今年は当たり年のようだ。日没前には、飛ぶ個体が遊水地全体で8羽前後も。3月下旬まで見られる。
特に、第2調節池北側付近の堤防は、観察がしやすい。昼すぎから連日、大勢の野鳥ファンが堤防の上に長い列をつくり異彩を放つ。200人を超えた日も。ただし風が強い日は飛ばない。昨年12月は3日間続けて撮影したが、風の影響でまともに飛んだのは1日だけだった。
だが、風が強い日は約130キロ先の富士山がくっきりと望める。夕焼けに浮かぶ秀麗な姿は心を癒やしてくれる。この冬は、富士山を背景に飛ぶコミミズクを撮影したい。
紙面より一部抜粋(2017年1月12日発行 東京中日スポーツ)
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