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霧はこぶ風にのる
愛媛県大洲市長浜の肱川(ひじかわ)河口付近で3日朝、まるで雲海の上を滑走するようなウインドサーフィンに出会った。とても幻想的な光景だ。海には「肱川あらし」と呼ばれる霧を伴った冷たい強風が吹き出し、蒸気霧が発生していた。風の影響で、カメラの三脚が倒れそうになった。この強風が吹くころ、全国からウインドサーファーが集う。
肱川あらしは霧を伴った冷たい強風が、同河口に吹き出す現象をいう。毎年10月から翌年3月ごろの朝に発生する。上流の大洲盆地で発生した放射霧が、肱川を下って長浜の町を包み込み、瀬戸内海に扇状に広がる。規模が大きいと沖合数キロにも。発生するには同盆地の放射冷却が強いことが条件だ。世界的にも珍しい自然現象という。
河口近くの標高159メートルの山に、肱川あらし展望公園がある。現役最古の可動橋として有名な長浜大橋と肱川、瀬戸内海などが見渡せるビューポイント。発生が予想される日は大勢の写真愛好家が訪れる。この日は数時間も見られたので次々に見物客がやってきた。
「東京中日スポーツの方ですか」とその時、声をかけられた。カメラに貼った社名シールを見て。全国の橋を撮影する写真家近藤太智さんだった。日本中央競馬会(JRA)公式カメラマンも兼務し、弊社の写真部同僚らと親しく、遠い四国で東京の話に盛り上がった。2人で山を下り、新長浜大橋に行くとウインドサーフィンと霧の絶景に出会い、至福の時間を楽しんだ。
紙面より一部抜粋(2016年12月23日発行 東京中日スポーツ)
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