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奇岩に朝日紅深く
「わあーすごい、すごい。中国の桂林みたい」。次々と見晴らし台を訪れる登山者が歓声を上げる。「オー、ナイス」と日本人女性。一緒の外国人男性は「きれいだね」。相手の言語を使って、感動を伝えている姿がほほ笑ましい。
数百万年かけ浸食された奇岩と、紅葉が朝の斜光に照らされる瞬間の絶景。もやのかかった山並みも幻想的だ。午前六時半すぎ。晩秋の朝のドラマに魅了された。
十三日の早朝、群馬県下仁田町と富岡市、安中市の境界にある妙義山(みょうぎさん)に登った。県立妙義公園駐車場から、登山道を歩くこと約三十五分。撮影地の見晴らし台は、第四石門(せきもん)そばの断崖の上にある。標高約八百メートル。ここからの景色は、一日見ていても飽きないことから「日暮(ひぐらし)の景(けい)」と呼ばれている。
紅葉の中を歩くのは心地いい。鮮やかな赤とオレンジ、黄、緑が青空に映える。登山ルートにある石門は、自然に石が削られたトンネルだ。撮影機材が重く、鎖をたぐってくぐる第一、第二の石門は避けて脇道を進んだ。
妙義山は白雲山(はくうんざん)と金洞山(こんどうざん)、相馬岳(そうまだけ)などを合わせた総称。耶馬渓(やばけい)(大分県中津市)と、寒霞渓(かんかけい)(香川県小豆島町)とともに日本三大奇勝の一つとされ、国の名勝に指定されている。
下仁田町商工観光課によると、紅葉の見頃は「今週から来週まで」。今月上旬の気温は低めで、中旬から一気に色づいたという。秋晴れの日に撮影でき、ラッキーだった。
紙面より一部抜粋(2016年11月16日発行 東京新聞)
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