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世界最大の渦潮
「ゴーゴー」と音を上げ、激しい潮流が目の前で渦巻いた。しぶきが散り、千変万化する壮観な渦潮。われわれを乗せた観潮船は流れに逆らって止まっているのだが、渦潮を見ていると、まるで速い速度で動いているような不思議な感覚をもった。
今月15日、鳴門市の亀浦観光港から大型観潮船「わんだーなると」(所要30分)に乗った。乗船して7、8分後、穏やかな瀬戸内海から突然、白い波しぶきをあげる海峡の中に。神戸淡路鳴門自動車道の大鳴門橋が真上をまたぐ。渦潮は数秒から10数秒、現れては消えることを次々に繰り返した。海には1メートルほどの段差も。壮大な自然の驚異に魅了された。
徳島県鳴門市と兵庫県南あわじ市の間にある鳴門海峡に発生する鳴門の渦潮。幅が約1300メートルの狭い海峡に、瀬戸内海と太平洋の海水が潮の満ち引きで流れ込み、速い潮流が生まれる。さらに海底の複雑な地形も影響して渦潮が発生。大きな渦は直径20メートルにも。見ごろは満潮時と干潮時の前後約1時間半。特に春と秋の大潮のころに規模が大きい。
この海峡は世界三大潮流の一つとして知られる。残り二つはイタリア半島とシシリー島間のメッシーナ海峡と、アメリカ西岸とバンクーバー島間のセイモア海峡。その中でも鳴門の渦潮の規模は世界最大という。
観潮船を降り、港から車で約5分の鳴門公園を訪れた。展望台からは鳴門海峡と大鳴門橋、渦潮が一望できる。トビ数羽が「ピーヒョロロ」と鳴きながら輪を描いて飛んだ。改めて瀬戸内海国立公園の美しい海に心癒やされた。
紙面より一部抜粋(2016年10月28日発行 東京中日スポーツ)
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