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夜の海守る光
日本一の細長い半島(全長約50キロ)で知られる佐田岬半島。10日、その最先端にたつ佐田岬灯台(愛媛県伊方町)を訪れた。
近くの椿山展望台からは眼下に灯台が見え、豊予(ほうよ)海峡を隔てて約14キロ先の九州・佐賀関半島が遠望された。ぐるりと270度も海が見渡せ、地球が丸いのを実感する。周辺に渡り途中のヒヨドリやツバメ、赤トンボが群れる光景に秋の気配を感じた。
夜を迎え、白亜の灯台に灯(あか)りがついた。光源は回転しながら暗い海を照らした。その横で沖合650メートル付近にある岩礁を照らす照射灯も点灯。この海域は潮流が速く、座礁を防ぐため設置された灯柱が、光線で白く輝いた。まるで十字架のように見えた。
船の往来は多い。時々、雲の切れ間から半月が現れた。月光が海面に反射して美しい。光が演出する神秘的な海峡の夜景に魅了された。
四国最西端にある佐田岬灯台は1918年(大正7年)4月1日に初点灯。1年半後は100年を迎える。高さは18メートル。光達距離は35キロにも。海上保安庁が選定した日本の灯台50選の1つだ。九州最南端の佐多岬灯台(鹿児島県)と字の読みが似ているのでよく間違われる。九州は「さた」で四国は「さだ」と濁る。
豊予海峡は関サバと関アジの高級ブランドで全国的に知られる。同海峡で漁獲され、大分市の佐賀関で水揚げさたものだ。瀬戸内海と太平洋の境界にあるため潮流が速く、また餌のプランクトンが多いため、身が引き締まり、おいしい魚に育つという。
紙面より一部抜粋(2016年9月23日発行 東京中日スポーツ)
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