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立ち止まりたい駅
四国が梅雨明けした18日、海の絶景が見られる駅として有名なJR予讃線下灘駅(愛媛県伊予市)を訪れた。昼間は厳しい暑さだったが、一転して夕方は潮風に吹かれて心地良かった。次第に旅人も集まり、駅ホームのベンチは夕日を見る特等席に。伊予灘に輝く黄金色と白い帯は鮮やかで美しい。赤トンボの群れが一瞬、目の前を飛んだ。自然と人間の営みが見せる印象的な光景に至福の時間を感じた。
下灘駅はJRの青春18きっぷのポスターに1998年から3年間採用された。鉄道ファンの間では海に近い秘境駅として知られていたが、一躍有名に。「あの頃の自分に戻れる旅をしませんか」。「思わず降りてしまう、という経験をしたことがありますか」。このキャッチコピーと駅の写真が旅人の人気を集めた。
無人駅の待合室にはA4判ノートの「落書帳」が設置される。ナンバーは27冊目に。現在、使用されるノートは今年5月9日から記入され、1ページの余白を残すだけ。人気ぶりがわかる。
「今回はひとり旅でしたが、次に来るときは大切な人と訪れたい」「この景色はなかなか見られません。四国一周めちゃ楽しい」「京都からようやく着いた。今まで訪れた駅の中で一番きれい」。旅人の想いが数多くつづられている。
駅のホームを舞台にしたイベント「夕焼けプラットホームコンサート」が毎年9月の第1土曜日に行われる。今年は31回目で、9月3日16時50分から19時10分まで開催。入場無料。潮風に吹かれ、絶景を見ながらのコンサートには毎年多くの住民や旅人が集う。
紙面より一部抜粋(2016年7月22日発行 東京中日スポーツ)
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